すごいだいず

濃さは普通です in Canada

幸せなことと、分かっているのだけれど。

20代前半の頃、女性歌人のデビュー歌集を衝動買いした。
それはそれは尖った言葉が散りばめられていて、脆そうでもあって、でも冷静で、、読みながらドキドキした。
同時に桝野浩一とか穂村弘とか天野慶とか現代歌人の作品も読んでみて、すっごく面白かったけど、彼女以上の衝撃はなかった。ヒリヒリするような表現と虚勢を張っている自分を重ねていたところがあったように思う。
(このブログを検索したら、短歌にハマっていたのは2009年のようだ。ブログってすごい)

当時は悩める若者だった私も、気づけば29歳になった。大人だから小さなことにくよくよしないし、嘘も付けるし、謝ることさえできるようになった。誰かに想われることで強くいられることも知ってる。
巨大なTSUTAYAでふと彼女のことを思い出して、著作を探し回った。同世代だと思っていたらデビューは2002年で、もう立派なおばさんだった。最新作を読んで拍子抜けした。家族を思う歌、平和を望む歌――ささやかで、ささやかすぎて所帯じみていた。20代で不倫の末に自殺未遂をしたような、都合のいい男を常備していたような女性も、家庭を持ち子どもができれば感じるところは変わってくるのだろう。男性よりもビビッドに。それはすごく素敵なことだと理解できるのだが、
「丸くなっちゃったな、」と思ってしまった。

マスカラが崩れないように泣いている彼女は、もういない。
きっと今は可愛いお母さんなんだろうな。