26週:トラブルに慌てる
おりものにやや血が混じる。ネットで検索すると「妊娠初期はありがちだが中期はすぐに受診した方がいい」と書いてあるのでちょっとビビる(そもそも妊婦の情報サイト的なものは山ほどあるが、内容が少しずつ違ってどれが信頼できる情報なのかさっぱり分からない。こりゃあ心配性の人は検索魔になるわ…と辟易)。夫が電話で産院に確認すると「よくあることだけど念のため受診してください」と。すんなりと2日後の予約が取れてほっと安心。
おりものの異常と軽い腹痛は1日で治まり、とりあえず安静と思いゴロゴロ。2月を乗り越えればとりあえず大丈夫でしょーとタカをくくっていたのでちょっと後悔。まだ中の人の肺とか脳とか視覚は発達してないのね…ごめんよもうちょっと中にいてくれ…
産院では「出血が続くとかお腹がすごく痛いとかじゃなければ大丈夫。激しい運動とかセックスとか内診の後は出血することもあるのよ。念のため感染してないかチェックしましょう」ということで、カナダ初の内診きたー!!日本のように自動の椅子ではなく、自分でベッドに上り下半身すべて脱いで不織布で隠すという仕様。ドクターの顔もばっちり見えるが恥ずかしがっていられない。尿も提出してあっさり終了。
まあ不安な2日間ではあったが、1週間前には行方不明になっていたエコー検査の結果も届いていたようで「胎盤の位置なども問題なし」、内診で「子宮頚管の長さも問題なし」、学校とかマタニティヨガは大丈夫でしょうか…との質問に「この週末問題なければ大丈夫。バスケットボールとかはしないでね」との力強いアドバイスをいただけたので結果的に良かったのではないだろうか。
距離感
妊娠中は便秘になりやすいというし、夫もお腹の調子が良くないというので食物繊維が必要だ!と思ってキャベツを買ってきた。お好み焼き、塩キャベツ、最近ブログで見かけたコールスローもいいな… タルタル・コールスローのレシピ
そういえば夫はあんまりマヨネーズが好きじゃないんだった。
「コールスローってマヨ入ってるから好きじゃないの?」
「マヨ入ってないやつは好きだよ」
(ネットで検索するとコールスロー=キャベツのサラダという意味らしい)
「そうなんだーマヨ味しか知らなかったよ。何味がいい?」
「そういえば伯母さん(ママの姉)がいいレシピ知ってるよ」
と言い終わるや否や伯母さんに電話をかけてレシピを聞いていた。モントリオールとケベックシティ、高速で2時間半はかかる距離に住んでいたにも関わらず、幼いころから家族同然の付き合いをしていたらしい。今でもクリスマスは毎年一緒に過ごしているし。で、レシピを聞いた後も近況報告などで長電話。60過ぎのおばさんと30過ぎのおっさんがそんなに話すことあるのね!私はそこまで仲の良い親戚はいないので…
米を切らしているので夫が主食にマッシュポテトを作ってくれた。パジャマでジャガイモを茹でながら
「ポテトマッシャー持ってなかったっけ?」
「私はいつもおたまで潰してるよ」
「それじゃ滑らかにならないでしょ、隣の人に借りてきて」
「…本気で言ってる?」
アパートの隣家は小学生の子どもがいる3人家族なので、そりゃあポテトマッシャーくらいは持っているだろう。でも!挨拶しかしたことないよ!言われるがままに「隣の者ですが…」と言って借りてきた。恥ずかしかった。
なんだろう、この古き良き昭和っぽい人付き合いは。田舎者とバカにされがちなカナダ人だが、夫は古都モントリオール育ちなので私よりよっぽど都会っ子のはずだ。
レシピをせっかくなので記しておく。
<りんごの甘味で箸が進むマヨなしコールスローのレシピ>
・キャベツ 4カップ 千切り
・りんご 1個 千切り
・塩 小さじ1くらい
調味料
・りんご酢 大さじ2
・粒マスタード 大さじ1
・メープルシロップ 大さじ1
・オリーブオイル 大さじ1
・黒胡椒 好きなだけ
まずキャベツの千切り4カップってなんだ!お菓子のレシピもバター1カップとか書いてあるけど、バターを計量スプーンやらカップで計るのって至難の業じゃない?洗い物増えるし。しかも欧米の1カップって236mlなのでちょっと感覚違うし。キャベツ半玉とかも悩むけど、もう、すべてグラムで書いてくれ!!
①キャベツをたぶん300グラムくらいスライサーで千切りにする。けっこうな量になる。洗ってザルにあけたら塩をふって軽くもみこんでおく。
②りんごの芯を取り皮のまま千切りにする。カナダのりんごは小ぶりなので日本の普通のりんごなら半分でもいい気がする。
③大きめのボウルに調味料をすべて入れ、りんごを入れて混ぜる。
④水気を切ったキャベツも合わせて混ぜる。味見をして塩・黒胡椒で味を調える。
2人では食べきれずに常備菜にできる量だよ~(でも翌日で無くなった)
バイトを探すよ
9月、新学期である。夫は昨年度産休の先生の代替教員をしていて、引き続き同じクラスを受け持つこともできたようだ。しかし代替はあくまで代替。2年目の今年は、キャリアアップや福利厚生などの面できちんとした契約があった方がいいのではと、慎重に職を探していた。
彼は日本から帰国後教員養成コースを1年弱で修了し、面接を経てウェイティングリストに掲載されていた。実績のない教員は、有給や病欠などの教師の代替教員でキャリアを始めることになるそうだ。しかし、ウェイティングリストに載せてもらえないクラスメートも多くいたらしい。10年近く前に通っていた大学の成績が良かったこと、フランス語と英語を話せること、日本での英会話講師経験があったことなどがアドバンテージになったようだ。
そんな訳で「俺はクラスでも優秀な方だ、選り好みさえしなければ仕事はあるから条件のいい小学校を探す。無ければ数日の仕事を渡り歩くこともできるし」というのんびりとしたスタンスだが、こちらからすればただのフリーターである。不安!
見つけてきたのが昨年度と同じ小学校でポストが空いた英語教員の枠。この学校は男性教員の割合が多く人間関係も良好なようだ。(キャリアスタート時にあちこちで代替教員をした経験によると、一般的に小学校教員は女性が多く、女性特有のいざこざも珍しくないようだ。どこの国でも一緒なのね…)でも25%の契約であると。に、25%の枠ってなんぞや??
代替教員はプランニング等はしないがほぼ普通の教員と同様に働くし給料も満額出るが、そもそも実績にならず、実績がなければフルタイムの仕事を一発で見つけることはできないらしい。転職市場にもランクがあり、16%やら25%の契約で実績を作ると一段上の50%とかの契約に申し込むことができるようになるらしい。若手は複数の小さい契約を掛け持ちしたり他にバイトしたりするのが一般的。なので副業はもちろんOK。合理的っちゃ合理的ね。
高校教師をしている友達のアドバイスは「代替教員を続けるよりは小さい契約を見つけた方がいい。次のステップに繋がる」。となると良き妻としてかける言葉は「お金のことは心配しないで、去年の職場がいいところならそこから少しずつ頑張っていこう」となる。ラテン系の夫に掛け持ち等の激務は無理だし独身時代の貯蓄もある。なんとかなるはずだ。
…でも冷静に考えてみると、月給3,000ドルとして25%だと700ドルくらい?家賃1,100ドルなんですけど。霞を食べていても赤字!超不安!私は学生になったので8時半~16時まで家を空けるようになったのだが、夫は私を見送り→出勤→帰宅→TVゲーム→私帰宅 という生活になった。家事はやってくれるけれども、なんかニートっぽい!不安しかない!
会社員経験があるので、人を動かしたいときに責めちゃいけないのは分かっている。ここで必要なのは「もっと働けよ」じゃなくて「私も家計を支えるよ」と言ってプレッシャーを与える作戦だ。という訳でバイトを探すことにした。
(1か月後に同じ小学校で50%のフランス語教員のポストを見つけてきたので、現在は75%分働いている。良かった良かった)
25週2:初birthing center
妊娠6か月まではファミリードクターのもとで検診を受けていたのだが、ラスト4か月はついに!産科で診てもらえるらしい。今まではクリニックでナースによる体重血圧尿検査と、ドクターによる問診・心音確認だけだったからね…専門医、楽しみ!
ファミリードクターからは市民病院かbirthing centerのどちらかを選んでと言われた。どちらも家から車で20分くらい。birthing centerは直訳すると助産院なんだろうけど、紹介されたところは評判がいいらしいのでそこに決めた。設備もちゃんとしてるしドクターもいるらしい。やや助産院よりの病院という感じなのかな?
人気だからなのかカナダだからなのか、予約をとるのに一苦労だった。紹介状を依頼したのに届いてないとか、やっと電話がつながったら「7営業日以内に折り返します」とか、おいおい、経過が順調だからしょうがないなって思えるけど待たせすぎだろー!結局予約だけで丸々3週かかって、さらに「○日の○時に予約とれたからよろしくね」って、こちらの都合を全く気にしてくれない。
そんなこんなで「海外だしな…」とあまり期待せずに初通院してみたところ、思いのほか素敵なところだった。総合病院内にある助産施設らしいので安心だし、なかなかきれい。家からタクシーでもバスでも通えそう。ナースもドクターも感じがいい。カルテを作るときに私の両親のフルネームや、独身か既婚かコモンロー(事実婚)かを聞かれたあたりがカナダっぽいところかな。あと5週前にエコー検診を受けた結果が電子カルテに載ってなかったので捜索をかけることになった。たった2回のうちの1回なのに!ドクターはあんまり気にしていない様子。
今回は簡単な問診と検査のみで、緊急連絡先の書いた紙を渡され「バースプランや出産時の持ち物はHPに詳しく載ってるから見ておいてね」と。何か冊子を渡されるわけではないのねー。でもHPはけっこう充実していた。訳しながらよく読んでみようと思う。
25週:今のうちにやっておこう
31歳で妊娠することのメリットは先輩ママの友達が多いことだ。女子校育ちのため恋愛下手な高校の友達、無駄に激務で高給のため相手選びに慎重になりがちだった会社の同期などと比較すると平均くらいだけど、それ以外の友達はママ率が高い気がする。つわり真っ只中に「自分が一番辛いんだから周りは気にするな」「どんなに長引いても産んだら治るよ」「今のうちだけだから思う存分のんびりして」と言ってもらえて本当に励まされた。
ぼちぼち日本の友達にも報告しているのだが、7か月だよーお腹出てきたよーと言うと「今のうちに焼き肉とか映画行っておいた方がいいよ」「そろそろデカパンが必要だよ」などアドバイスをいただける。ありがたや~
そんな中、夫の友達の誕生日会で日本風鉄板焼き屋へ行くことができた。夫は寿司、私は焼き鳥(1年振り!)、さらにフィレミニョンとロブスターの鉄板焼きをいただいた。炎を上げて鮮やかに調理をする様子は楽しかったが、あれ、これってジャパニーズスタイル…?たぶんアメリカンだよね…?という疑問は残る。
さらに頻尿がやや落ち着いてきたので『レヴェナント』を観に行けた。ディカプリオのオスカー受賞が確実視されているらしいし、『バベル』『バードマン』のイニャリトゥ監督、あと音楽坂本龍一ですよ!ここ最近でいちばん気になる映画じゃなかろうか。訛りが強くて会話はあまり理解できなかったが、圧倒的な映像に引き込まれた。大きい画面で観たほうがいいやつ。
(ところでこっちのシネコンってエンドロールになると明かりがついてみんな帰っちゃうんだよね、余韻を楽しもうという気はないのか。名探偵コナンみたいなエンドロールの後になんかあるやつはどうするんだ)
残り3か月ちょっと、さてあとは小旅行かとも思ったが、寒いし体力に自信がないのでデカパン探しくらいでいいかな…。
That's カナダクオリティ
カナダに文句があるわけじゃないんだけど、日本のサービスの質を世界標準だと思っちゃいけないのは分かってるんだけど…ここ1,2か月でびっくりしたことがいくつかあったので愚痴ってみる。
・廊下の火災報知器が鳴り出す。が火の気はない。隣人が念のため消防に電話をかけたらやたら大きい消防車が2台やってくるが、案の定報知器の故障とのこと(アパートの前で消防車を眺めながら煙草を吸っている人もいた…それマズいだろ…)。その後報知器は取り外されたまま1か月くらい過ごす。
・夫を送り出しパジャマでダラダラしている朝9時、いきなり室内の火災報知器が鳴り出す。部屋に異常はないのでビルの問題か?また故障か?とりあえず着替えたほうがいいか?とオロオロしていると、突然合鍵でオーナーが部屋に入ってくる。動作確認テストだったらしい。夫に報告すると「そういえば今朝アパートの前に張り紙があった」と。教えてよ!てかオーナーも当日告知かよ!
・午前中突然の停電。数秒の停電は数回経験があるが、長時間は初めて。冷凍庫大丈夫かな…夫に連絡しようかな…と思ったが電気がないのでネットも不通。携帯を契約せずにWi-Fiのみで生活していたので、近所のスタバに行くしかないかーと着替えをしていたら電気が復旧した。時間にして40分くらいだった。原因は分からない。
・シャワーを浴びてから検診に行こうとする。髪を洗い、コンディショナーを浸透させている間に身体を洗い、さて全身を流そうかと思ったらお湯が出ない。どうしようもないので泡だらけの身体にバスローブをまとい、頭にバスタオルを巻き、他の水道も確認するがやっぱりどこも水が出ない。苦肉の策でベッドに放置してあった湯たんぽの残り湯で、ドクターに見せるお腹から下半身をさっと流す。外出時間も迫っているのでとにかく髪を乾かし着替えをして出かける。後に夫がオーナーに確認したところ工事のため数十分水の元栓を閉めていたとのこと。ちょうどタイミングが被ったのか…前もって教えてよ!!!
わたし逞しくなりそうです。
24週2:初Babies”R”Us
(夫の推しチームは準決勝敗退してしまったのだが)スーパーボウルも終わり、私の体調も概ね回復、やっと時間が取れるのでベビーザらスに行ってみた!今回の目的は2つ。
①Baby Registryというものに登録するとプチギフトが貰えるらしいので貰いたい
②最低限必要なものはコレ!的なカタログがあれば貰いたい
まぁあくまで様子見ということで…
まずBaby Registry。ネットで登録してから行ったらすぐに袋を貰えた。小さい哺乳瓶、ベビーオイルやおむつかぶれ用の薬のサンプル、各種割引クーポンなどが入っている。そもそもGift Registryというものを分かっていなかったのだが、結婚式や出産、誕生日前に「私が欲しいものコレだからよろしくね!」というリストを作っておく趣旨のものらしい。確かに結婚パーティー前に「欲しいものリストを教えて!」って言われてワインとかバスタオルとかボウルとかを列挙したメールを送った記憶がある。
で、ベビーザらスのシステムというのは、①ネット上で自分のアカウントを作る ②オンラインショッピング感覚で欲しいものを買い物カゴに放り込む ③友人らがアカウントを検索し、予算に合わせたものを買ってプレゼントする というもの。合理的ー!さらに店舗まで足を運ぶと、小さなバーコードリーダーを貸してもらえ、気に入った商品があればピッとバーコードを読み込むだけでRegistryに登録されるらしい。すごい。というわけで、私のアカウントにはベビーカー3台と授乳クッションが登録されている。
次にカタログ。クリスマスが終わり次のカタログが出る前の時期ということで在庫なし。3月にまた来てね!とのこと。おそらく1歳半の甥から色々とお古を貰えるだろうから、最低限チャイルドシート、ベビーベッド、ベビーカーを買おうと考えているが、これで足りるのか。産院に行けば母乳パッドとオムツと爪切りも買ってねとか教えてもらえるのかもしれないが、まだ検診はファミリードクターのところなので詳しくは分からない。
せっかくなのでいちばん高いであろうベビーカーについて店員さんに教えてもらうことに。狙いはチャイルドシートとベビーカーが一体となったトラベルシステムタイプ…と思ったが、高級ラインは700ドルと高額!ビビりながら「どんなstroller(ベビーカー)がおススメでしょうか…」と聞いてみる。
「赤ちゃんと一緒にランニングしたいなら三輪タイプが…」「走りません」
「雪の日も外に出ることが多いならタイヤの大きいやつが…」「極力出ません」
これは畳みやすいとか50ポンド(≒23kg)まで使えるとか聞いてふむふむ(どうでもいいが、かなりデキる感じの店員さんは身長190cm体重100kg級でスキンヘッドでアイスホッケーのレプリカユニフォームを着ていた。職場とのギャップありすぎ)。
チラ見で帰るつもりが、小一時間うろうろしたのち夫はセールのヒゲ靴下を購入していた。初めてのベビーザらスでの買い物が靴下という人も珍しいと思うが、なかなかに楽しかった。